「ヤッホーブルーイングさん、SDGs関連の取り組みは何かされていますか?」
社外の方からこう聞かれることが最近増えてきました。
正直のところヤッホーブルーイングでは、全社員でSDGsを特別意識して活動をしてきたかといえばそうではありません。
しかし、振り返ってみるとヤッホーブルーイングではSDGs達成に貢献する様々な活動をしてきたことが分かってきました。
「ビールに味を!人生に幸せを!」
私達は多様で個性的なクラフトビールを提供することでビールファンの皆様に幸せをお届けするために活動してきました。
日本中にクラフトビール文化を広めるためにクラフトビールをつくり続けてきた私達だからこそ取り組んできた活動の一部を紹介させていただきます。
目次
・循環型社会を実現する素材「アルミ缶」に全製品の94%を充填
・賞味期限の延長でフードロスを防ぐ
・コロナ禍で余剰した飲食店向けのクラフトビールを蒸留しクラフトジンに
・ビールづくりで生じる排水は自社施設で河川に放流できる水準まで処理 麦芽の絞りかすは肥料に
・地元軽井沢の自然や歴史的景観を保護する団体にビール売上の一部を寄付
・サステナブルな物流を目指す「ホワイト物流」推進運動に賛同
一般的に家庭用のビールは瓶か缶に充填されます。
中でもアルミ缶はリサイクル率が高いだけでなく、ワンウェイ瓶(再使用を前提としないガラス製の容器)よりも環境負荷の小さい容器であることをご存じでしたか?
日本におけるアルミ缶のリサイクル率は全体で94.0%、そのままアルミ缶として再生する率も74%と非常にリサイクル効率の高い素材です(※1)。特に日本ではリサイクル網が整備されていることもあり諸外国と比較しても高いリサイクル率を誇ります(※2)。
また、アルミ缶は「地球温暖化」「大気汚染」「エネルギー消費」「固形廃棄物」の項目において、ワンウェイ瓶と比較すると環境負荷の低い素材です(※3)。
ヤッホーブルーイングでは創業以来「日本中にクラフトビールを届ける」ために運搬効率が高く家庭でも手軽に扱えるアルミ缶に充填したビールを製造してきました。今では、全製品の94%(リットル換算)をアルミ缶に充填しています。
(※1)出典:アルミ缶リサイクル協会ホームページ(http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/98/)
(※2)出典:アルミ缶リサイクル協会ホームページ,(http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/100/)
(※3)出典:容器間比較研究会「LCA手法による容器間比較報告書」( http://www.returnable-navi.com/envdata/envdata01.shtml)
ビールはお酒の中でもとてもデリケートな飲み物です。特に多様で個性的なクラフトビールは、ビアスタイルごとに原材料の種類・配分、製法などが大きく異なります。したがって、ビアスタイルないしは製品ブランドごとに劣化のしやすさも変わってきます。特にインディアペールエール(IPA)などのホップを多く使うクラフトビールは劣化のスピードが速いという特徴があります。
ヤッホーブルーイングでは、少しでも長い期間美味しく飲んでいただけるように、品質の改善を積み重ねて賞味期限の延長を実現してきました。
2014年9月 ハレの日仙人(瓶): 3ヶ月→2年
2015年9月 僕ビール君ビール(缶): 5ヶ月→9ヶ月
2015年11月 水曜日のネコ(缶) :5ヶ月→9ヶ月
2015年12月 東京ブラック(缶) :5ヶ月→12ヶ月
2018年7月 バレルフカミダス(樽・瓶): 3ヶ月→2年
2018年9月 よなよなエール(缶) :5ヶ月→8ヶ月
2019年8月 全無濾過樽製品 :10日→20日
2020年11月 サンサンオーガニックビール(缶): 5ヶ月→6ヶ月
2021年5月 よなよなエール(樽) :3ヶ月→5ヶ月
2022年5月 よなよなエール以外の全樽製品 :3ヶ月→4ヶ月
賞味期限の延長は美味しく飲める期間を長くするだけでなく、店頭で販売できる期間も長くします。つまり、店頭での売れ残りによる廃棄のリスクを抑えてフードロスにもつながる取り組みというわけです。
2020年の緊急事態宣言による飲食店への休業要請、2021年の酒類提供禁止の要請で合計約18,000Lもの飲食店向けクラフトビールが余剰しました。
「せっかくつくったビールを捨ててしまうのはもったいない。」
佐久醸造所のある佐久市の戸塚酒造さまにご協力いただき、余剰したビールを蒸留することでクラフトスピリッツ・クラフトジンとして生まれ変わらせることができました。
https://yohobrewing.com/story/miraidukuri_donation/
ビールを製造すると、できあがるビールの15倍~20倍もの排水が発生します。排水には、麦芽やホップの成分も含まれているので、放流する前に適切な処理をする必要があります。
ヤッホーブルーイングでは、自社で保有する排水処理施設で微生物による分解とフィルターによるろ過で処理を施します。水質汚染防止法で定められている水質基準を満たす程度まで処理した水を河川に放流をしています。なお、排水処理の過程で生じる麦芽の絞りかすは栄養を多く含んでいるので、肥料として近隣の農家さまに提供をしています。
ヤッホーブルーイングの本社は軽井沢にあります。地元軽井沢のために少しでもできることが無いかという思いで「軽井沢高原ビール」の売上の一部を自然や歴史的景観を保護する団体に寄付をしています。
「軽井沢高原ビール ワイルドフォレスト」の売上の一部は、人間と野生動物の共存をめざし、さまざまな活動を行う「軽井沢ワイルドフォレスト」に寄付しています(2021年12月時点で累計6,750,247円)。軽井沢の豊かな森に生息するツキノワグマ対策のゴミ箱を設置してツキノワグマと人を守る活動に貢献しています。
「軽井沢高原ビール ナショナルトラスト」の売り上げの一部は、歴史ある軽井沢の景観、歴史的遺産、文化を守る活動を行う「軽井沢ナショナルトラスト」に寄付をしています(2021年12月時点で累計5,580,707円)。軽井沢の文化遺産の調査、保護などに役立てられています。
クラフトビールを日本中にお届けするためには、主にトラックによる輸送が必要です。ビールと密接に関わる物流業界では、トラック運転者不足が深刻化しています。そこで、サステナブルな物流に少しでも貢献するべく、2020年8月に「ホワイト物流」推進運動に自主行動宣言を提出しました。国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とした運動です。ヤッホーブルーイングでは以下の取り組みを実施しています。
・大型センターへの1配送あたりの物量集約
・土日出荷の原則廃止による平日への物量集約
・個店別配送から大型センター配送への切り替え
・大型連休直前の物量過多回避を目的とした物量平準化
・都内飲食店向けの樽製品配送網を独自に構築することで樽製品の出荷と回収を効率化
・異常気象時の物流トラブル回避を目的とした納品日の調整および出荷停止
・リードタイム(出荷から納品までに要する輸送時間)の延長
クラフトビールで日本に新しいビール文化をつくる活動をしてきた中で、微力ではありますが私達はSDGs達成に貢献できる活動をしていました。
・醸造所の周辺地域
・原材料を供給してくださる取引先
・製造したクラフトビールを日本中に運んでくださる物流会社様
・お客様の手元に届くまで販売を担ってくださる流通企業様
・クラフトビールを飲んでくださるビールファンのみなさま
クラフトビールを日本中に広めるにあたって、様々な方々と手を取り合っていく必要があります。その中で私達だからこそできる活動が少しでも持続可能な社会に貢献できたら嬉しいです。
ヤッホー広め隊
ジン(渡部)