「ヤッホーブルーイングの朝礼ってお通夜みたいですね」
2008年頃、スタッフの1人が何気なく放った一言です。
当時は20名程度の人数規模だったものの、共通の目標がなく皆の目指す方向はバラバラ。
チームで働く意識が薄く、1人でやる仕事は出来ても皆でやる仕事はなかなか上手くいかないという状況。
皆が「働きがい」を持って働ける会社とは言えませんでした。
それから9年後の2017年、ヤッホーブルーイングはGreat Place to Work® Institute Japan(以下、GPTWジャパン)が主催する、2017年版日本における「働きがいのある会社ランキング」の中規模部門でベストカンパニーに選出されました!先日発表された最新の2021年版でもランクインし、これで5年連続となりました。
GPTWジャパンは働きがいのある会社を「働きやすさ」と「やりがい」の両方が兼ね備わった組織と考え、「マネジメントと従業員との間に『信頼』があり、一人ひとりの能力が最大限生かされている会社」と定義しています。
2021年版のランキング上位にはコンカーやサイボウズなど名だたる企業がランクインする中、ヤッホーは前年よりも順位を9つ上げ18位にランクインしました。
「お通夜のような雰囲気の会社」が「働きがいのある会社」に。
いったいその間に何があったのか?
その裏側を少しだけご紹介します。
井手(てんちょ)が社長に就任した2008年当時。
2004年から始めたネット通販がきっかけで売上が伸び、2005年からは黒字が続くなど「悪くない」状況でした。
ですが、みんな自分の仕事はしっかりやっていても担当外の仕事はあまり拾わない。
プロジェクトチームをつくっても、なかなかうまく進まない。
朝礼をしても「特にありません」「事務処理です」と元気がないお通夜のような雰囲気。
てんちょは当時から「クラフトビールの革命的リーダーになって、クラフトビールカテゴリーを創出する」という大きな目標を掲げていましたが、それを達成する環境が出来ていませんでした。
「大きな目標を達成するにはこのままじゃ絶対にダメだ!
いつかじゃない、今からやろう!」
そう決意して、てんちょはひとり組織改革を始めました。
まず行ったことが「経営理念」の策定です。
チームで働くには共通の目標が必要です。また、この会社をどんな会社にしたいのかもスタッフ皆に伝える必要があります。そこで2008年から数年をかけて経営理念として「ミッション」「ビジョン」「組織文化(ガッホー文化)」「価値観」「ヤッホーバリュー」を策定しました。
その後は経営理念の浸透活動やチームづくりを学ぶ研修、社内のコミュニケーションを活性化させる施策など多くの取り組みを実施。
経営理念に共感できず会社を離れる人も居ました。
悲しいことですが、その方が本人もヤッホーも、両者にとって幸せであると考え、数年の時間をかけて少しずつ組織を変革していきました。
組織を変える1つの重要な要素となった経営理念。
それは私たちの働き方にも大きく影響しています。
経営理念の1つで私たちの行動指針でもある「ガッホー文化」の中に、
「知的な変わり者」という考え方があります。
これは「変な人を目指す」・・という意味ではありません(笑)。
ここでの「知的な変わり者」は強み・個性をとことん伸ばし、発揮している人のことを指します。日々勉強して知性を高めつつ、強みをとことん活かして働こう!という思いを込めた言葉です。
私たちが「強み」にこだわるのは、それが結果的に大きな成果に繋がると考えているからです。
自分の得意なことは人よりもうまくこなすことができ、自身も「やりがい」を持って楽しく取り組むことができます。チームで働く時にもメンバーが全員が強みを発揮してお互いの弱点を補い合うことで、チームの力が最大になり大きな成果に繋がります。
そのため、私たちは「出る杭は打つ」のではなく「出る杭は伸ばす」のです。
とはいえ、自分の強みは中々分からないものです。
急に強みを伸ばしてと言われても困ってしまいますよね。
そこで私たちは米ギャラップ社の「クリフトンストレングス・テスト」を導入しています。
テストでは34に分類された資質から上位5つを知ることができ、結果は一覧にして社内で共有しています。私たちはこの資質を「強みの元」と考え、日々の業務を通じて自身・他者の強みを理解し伸ばしているのです。
ちなみに、てんちょの資質は「戦略性、着想、自我、責任感、指令性」。
自我という資質を持つは人から認められたり、自身が目立つ機会を好む一面があります。
なので授賞式でも進んで仮装姿になっているとかいないとか・・。
「会社の目標を自分事化して、何をすればいいか自分で考えて働けるようになった」
「組織として『皆で』働いている感が増して楽しい」
お通夜のような雰囲気と言われていた時代から在籍しているスタッフがこう話すように、
10数年前に比べると「働きがいのある会社」になっていると私たちは感じています。
ですが、まだゴールではありません。
社内で行ったアンケート結果を見ても、「働きやすさ」「やりがい」共に課題が沢山あります。
私たちはこの状況を「伸びしろ」と捉え「ビールに味を!人生に幸せを!」というミッションの実現に向け、これからも進化していきます!
どんちゃん