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15年続けて分かった、職場における「ニックネーム制」の効果

ストーリー

2024-04-01

突然ですが、皆さんは会社の上司や同僚をどう呼んでいますか。

役職名?さん付け?
はたまた、ニックネーム?

職場での呼び名は、人の印象やコミュニケーションのしやすさを左右する重要な要素です。
最近では、風通しを良くするため役職名はあえてつけず「○○さん」と呼ぶ企業も多いと聞きます*¹。相手を尊重する姿勢を育むために「さん付け」で呼ぶことをルール化した小学校も増えている*²ようですね。
*¹)讀賣新聞オンライン「役職名を使わずに「さん」付け、企業が推進するワケは?
*²)讀賣新聞オンライン「『あだ名』『呼び捨て』は禁止、小学校で『さん付け』指導が広がる

さて、私たちはというと、互いのことをニックネームで呼び合う「ニックネーム制」を2009年より採用しており、社内には「かっちゃん」「たっけー」といった比較的(?)一般的なものから、「パクチー」「うえぽん」「三の宮」といったユニークなものまで、さまざまなニックネームで溢れています。

「なぜ『さん付け』ではなくニックネームなの?」
「『ニックネーム制』にすることで、どんな効果があるの?」

15年続けてわかってきた、ヤッホーブルーイングの考える「ニックネーム制」のあれこれをお伝えしたいと思います。

「さん付け」ではなくニックネームを採用したわけ

「お通夜みたいですね。」

スタッフがそうつぶやくほど、2008年ごろの会社の空気は暗いものでした。

それぞれが決められた仕事をこなすだけの毎日。
組織としてのまとまりがなく、辞めていくスタッフも多い状況に、社長であるてんちょ(井手)は危機感を抱きます。
どうにか社内の空気を変えようとあの手この手を試すうち、注目したうちのひとつが「呼び名」でした。

もともとヤッホーブルーイングでは、役職や立場の関係ないフラットなコミュニケーションを実現するため、「さん付け」で呼ぶことをルールにしていました。
ですが、組織の空気を変えるには「さん付け」だけでは物足りないというのがてんちょの実感。良い方法はないかと模索するなかで、互いをニックネームで呼び合う社外研修に出会いました。

「ニックネームで呼び合うと、心理的距離が近くなる気がする!『さん付け』よりもコミュニケーションが円滑になりそうだ!」

そう考えたてんちょは、社内にも「ニックネーム制」を導入することを決意しました。

とはいえ、そう簡単に「ニックネーム制」に切り替えられるわけでもなく……。
照れくささや困惑などもあり、最初の半年間ほどはなかなか浸透しませんでした。
それでも、繰り返し社内に「ニックネーム制」の意図や効用を伝えることで、少しずつ受け入れられていきました。

「ニックネームだと、話しかけやすい!」
「ニックネームだと、『さん付け』よりも距離が縮まる!」

だんだんと、「ニックネーム制」によりコミュニケーション量も質もあがることを実感するスタッフが増え、いつしかパートナー社員含む全スタッフがニックネームで呼び合うことが当たり前になりました。

使い続けて分かってきたニックネームの効果

実際に導入してみると、ニックネーム制には「心理的距離を縮める」以外にも様々な嬉しい効果があることがわかってきました。

チームとして最大限の効果を出すことにつながる

ヤッホーブルーイングではフラットなコミュニケーションを大切にしています。
それは、年齢・職歴・役職関係なくワイワイガヤガヤと議論を尽くし納得感を得た状態で行動をすることで、組織として最大の成果を出すことができると考えているからです。
「ニックネーム制」によりコミュニケーションの量や質を増やすことで、打ち手のレベルが格段に上がり、生産性の向上にもつながりました。

ファンの方との心の距離を縮めることにつながる

ヤッホーブルーイングでは、ファンの方と対面でお会いするイベントに力を入れています。
社員がお互いをニックネームで呼び合っていると、イベントに来るお客さんも自然とニックネームで呼ぶようになるのです。それにより、初めてお会いする方でも一気に距離が縮まり、ファンの方との密なコミュニケーションが可能になりました。

ニックネームの絶大な効果を実感した私たちは、最近では社外のお取引先さまや採用を受ける就活生とも可能であればニックネームで呼び合うようにしています。これにより、社外の方とのチーム化が促進されたり、コミュニケーションが円滑になったり、といいことばかり起きています。

実際にスタッフからも、

「ファンの方とニックネームの由来で話が弾み、『仲間』になれている感じがする!」(CRM・CXデザインユニット さあや)
「(前の職場に比べ)上司とのコミュニケーションが取りやすく、確認が早い!相談もしやすく、推進力Upに繋がった」(品質管理ユニット たっけー)
「社外のお取引先の方とコミュニケーションする際、『上下』や『売る/買う』の関係性ではなく、対等な関係性を築くことができる!何よりニックネームで呼び合うのは楽しい!」(営業ユニット きょんぴ)

と、ニックネーム制の良さを実感する声が多く上がっています。

ニックネームで呼び合うことで規律性は乱れないの?

とはいえ……、

「ニックネームにすることで、必要以上に砕けた距離感になってしまうのでは?」
「なあなあな雰囲気になり、公私混同するスタッフも出てきそう」
「ニックネームで呼ばれることで、嫌な思いはしないの?」

なんて懸念もあるのではないかと思います。

そこで重要になってくるのが、私たちが大切にする価値観のひとつ「同僚への敬意」です。

ヤッホーブルーイングでは、企業理念のひとつに、譲れない価値観として「同僚への敬意」を掲げています。
相手への敬意を前提としたうえで、「フラットなコミュニケーションと砕けた関係性は別物であること」をスタッフ全員が理解しています。ニックネームが、あくまで「スタッフ同士の距離感を縮めるための手段である」と知っているからこそ、ニックネームで呼び合いながらも、適切なコミュニケーションを実施できているのです。

ちなみに、この「同僚への敬意」はフラット組織に欠かせない価値観のため、新入社員向けの研修でも時間を割いてレクチャーしています。

また、「ニックネームは、自分が呼ばれたいものを自分で考える」、「(ニックネーム制も含めた)フラットなコミュニケーション文化に共感する人を採用する」など、誰もが気持よくニックネームで呼び合えるような工夫もしています。

最近では、私たちの「ニックネーム制」に注目していただく機会も増えてきました。

・日本経済新聞 「ヤッホー社長は『てんちょ』 ニックネームは魔法
・日本経済新聞 「仕事中は『ぴぐもん』 社員ニックネーム、組織の壁崩す
・IT media ビジネスONLINE 「『てんちょ』『パクチー』『忍忍』――クラフトビール大手が全社員を『ニックネーム』で呼ぶ理由

入社1年目の私。
最初の頃こそニックネームで呼び合うことに恥ずかしさを感じていましたが、あまりに浸透しすぎていて一瞬で慣れました。

「ジン、この部分について自信がないので見てもらえますか?」
「わっしょい、イベントで使用するビールの手配をお願いします!」

先輩であっても気兼ねなく声を掛けられるこの環境、とっても働きやすくてありがたいなと実感する日々です。

ヤッホー広め隊(広報) ぼかすか

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