ヤッホーブルーイングは、Great Place to Work® Institute Japan(以下、GPTWジャパン)が実施した2021年版日本における「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門(従業員100-999人)で18位にランクインし、ベストカンパニーに2017年から5年連続で選出されました。昨年から順位は9位上昇しており、2年連続の上昇となりました。互いに協力し合うチーム力と、社員の自発的な課題解決への取り組みが評価されたと考えています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、組織の働き方には様々な変化が求められてきました。GPTWジャパンは、これからの組織の働きがいには「尊重のマネジメント」と「相互信頼を構築するコミュニケーション」が重要であるとし、社員が安心と安全を感じられる情報発信やコミュニケーション、信頼による自立的に働ける社員の育成などが重要であると発信しました。ヤッホーブルーイングでは、継続的な経営理念を浸透する取り組みと多様なコミュニケーション施策を通してチーム力が形成されています。これによりコロナ下においても様々な課題解決が社員から自発的に行われています。これらが評価され、ベストカンパニーに選出されたと考えています。
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Great Place to Work®とは?
「働きがい」に関する調査・分析を行い、一定の水準に達していると認められた会社や組織を発表する活動を世界約60カ国で実施している専門機関です。GPTWジャパンは、世界共通基準で行う調査のもと「日本における働きがいのある会社ランキング」を2007年から毎年発表しています。働きがいのある会社を「マネジメントと従業員との間に『信頼』があり、一人ひとりの能力が最大限生かされている会社」と定義し、「優れた価値観やリーダーシップがあり、イノベーションを通じて財務的な成長を果たすことができる」としています。
従業員・会社それぞれへのアンケートをもとに評価
60問の選択式設問と自由記述式設問に業員が無記名で回答する「働く人へのアンケート」と、経営方針や人事制度、企業風土づくりの施策などを参加企業の人事担当者が回答する「会社へのアンケート」で構成されています。
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◆日本のビール文化変革を目指す組織づくり 採用でも共感を最重視
ヤッホーブルーイングのミッションは『ビールに味を!人生に幸せを!』です。「画一的な味しかなかった日本のビール市場にバラエティを提供し新たなビール文化を創出する。そしてビールファンにささやかな幸せをお届けする」という想いが込められています。組織の活動は全てミッションに向かって行われ、スタッフはミッションの実現に意識的に取り組みます。ヤッホーブルーイングでは、社員採用の重要な基準の一つにミッションの理解度・共感度を設けています。
◆「ガッホー文化」の浸透と実践
「ガッホー文化」とはヤッホーブルーイングのスタッフが仕事をする上での行動指針です。スタッフ全員がこの目的を理解し、実践できている状態を目指しています。名称は「頑張れヤッホー」からきています。
目指すのは「究極の顧客志向」
お客様のニーズに応え期待値を超えて100%満足してただくことを目指しています。「ガッホー文化」は、スタッフ・組織が「究極の顧客志向」を常に意識しながら行動するからこそ成立する仕組みでもあります。
自ら考え行動し、切磋琢磨することで仕事を楽しむ知的な変わり者であれ
自分自身で考えて仕事に向き合い、互いに切磋琢磨することが、仕事そのものを楽しむこと、ひいては働きがいに繋がると考えます。また知的で型にはまらない「知的な変わり者」であることを推奨し、それぞれの個性が究極に発揮された状態を目指しています。
フラットな議論をするためのフラットな組織
役職や部署、年齢の違いに関わらず自由に議論できる組織を目指しています。フラットな状態で議論することで、質の高い打ち手をスピード感を持って実行しやすくなり、革新的な製品・サービスの開発に繋がっています。
◆コミュニケーションの量と質を増やす様々な施策
フラットな組織づくりのためには、コミュニケーションの量を増やし質を高める必要があります。ヤッホーブルーイングでは、人数規模や量と質のレベルに合わせ多くの施策を行っています。まずはコミュニケーションの量を増やすことでスタッフ間の「心理的安全性」を高め、次に質の高いコミュニケーションができる環境を整えています。個々の強みを活かしチームで働くことを体系的に学ぶチームビルディング研修などを行っています。これらの施策が行き渡っているので、役職関係なくスタッフ同士が会議の場で侃侃諤諤議論するといった場面も日常的に見受けられるようになりました。
事例①:ユニットディレクター立候補制度
ヤッホーブルーイングにおける社員の階層は「社長」「ガッホーディレクター」「ユニットディクター」「プレイヤー」の4つのみです。プレイヤー以外は全て立候補によって決定します。年に一度プレゼン大会が実施され、若手からベテランの社員まで自ら立案した経営戦略や事業計画を全スタッフの前で発表します。スタッフからのアンケート等を基に次期ディレクターが決定します。そのため、立候補する側もプレゼンを聴く側のスタッフも、経営者の視点で全社の戦略を考える場となっています。
事例②:ニックネーム制度
役職・年齢・男女の差なく言いたいことを言えるような雰囲気をつくるためにスタッフ同士をニックネームで呼び合う制度を取り入れています。スタッフ同士の距離が近くなり、よりフラットな関係性が構築されます。
事例③:「あえて仕事の話をしない」雑談朝礼
毎朝30分、職位や雇用形態に関係なく全員が参加する雑談朝礼を10年以上実施しています。1人ずつ「仕事と関係のないくだらない話」をしていきます。コミュニケーションの量を増やすことを目的に行っており、日常の中から気軽なコミュニケーションをとることで、業務においても互いに意見を言いやすい環境を創り出しています。コロナ下で在宅勤務体系に移行したことで従来実施していたユニット横断の雑談朝礼が一時的に停止していましたが、現在ではテレビ会議を活用したユニット横断のシャッフル雑談朝礼を運用しています。
事例④:チームビルディングプログラム
アクティビティを通じてチーム形成を体感し理解する研修で、自主的な参加を募って業務扱いで実施しています。2009年から2020年までに10回実施され、90名近くのスタッフが受講しました。現在はオンラインでチーム形成を体系的に学び理解する新しい形の研修を実施しています。また、研修の講師役の社員を育成する研修を行い、チーム形成に対する理解を更に深めています。
事例⑤:スキル・経験・所属部門よりも意欲を重視するプロジェクト制度
課題を発見し自ら解決をしたいという意欲の高いスタッフに対して、経験・所属部門に関係なくプロジェクトの立ち上げを推奨しています。また、プロジェクトには手を挙げれば誰でも参加することができます。普段一緒に仕事をしないスタッフ同士で仕事をすることで日常の業務においてもコミュニケーションが円滑になる効果もあります。昨年はプロジェクトによって、ミッション浸透活動や営業所の移転、オンラインでのあたたかい入社式などが実施され、更なる働きがいの向上につながりました。
◆仕事と育児の両立を推進
正社員を対象に産休・育休を取得しやすい雰囲気作りなど会社全体で育児をサポートする体制を整えています。現在、正社員産休取得率100%、産後復職率100%、男性育休取得率66%(2019年の日本の平均は7.48%)です。会社全体で仕事と育児を両立できるよう環境整備に取り組んでいます。
◆柔軟な働き方の推奨
個々の事情に合わせ柔軟な働き方ができるよう就業時間の変更を認めています。急な家庭の都合での早退、プライベートを楽しむための早退、通院のため時差で出勤など、理由に関わらず基本的には自分の判断で業務時間を調整することができます。業務時間についても自ら考え調整し、公私共に充実した時間を過ごせることを勧めています。この働き方はチーム内のコミュニケーションと信頼関係がなければ成立しないため、日常から積極的にコミュニケーション施策を行っています。
今回得た社内のアンケート結果を、人事部だけでなく社員一人ひとりが理解できるよう共有していきたいと考えています。「日本全国に新たなクラフトビール文化を創出する」というミッション実現のために、これからも自発的な活動によって働きがい向上を続ける組織を目指します。